このたびの2025年5月の学会総会において、日本経済政策学会会長に選出されました慶應義塾大学の駒村康平です。初代会長・加藤寛先生から数えて、第16代の会長を務めさせていただくこととなりました。
本学会は、1940年の創設以来、わが国における経済政策研究の発展に大きく寄与してまいりました。毎年開催される全国大会および国際会議は、学術的知見の交流と発信の場として重要な役割を果たしており、多くの内外の研究者の皆様にご参加いただいております。
学術誌としては、2003年より『経済政策ジャーナル』を、また2006年からは英文誌 International Journal of Economic Policy Studies (IJEPS) を刊行しております。とりわけ IJEPS は、Springer社から発行され、国際的な学術誌として着実に評価を高めております。さらに、これらの学会誌に掲載された優秀な論文には、論文賞や研究奨励賞などの学会賞を授与し、優れた研究活動を積極的に顕彰しております。
本学会の大きな特色の一つは、関東・中部・関西・西日本の各地域に部会を設け、それぞれの部会が主催する大会や研究会を通じて、地域に根差した研究交流の場を継続的に提供している点にあります。これは本学会の強みであり、今後も維持・発展させていくべき重要な活動と考えております。
こうした長い歴史と伝統を礎としながら、現代社会の急速な変化に対応するため、柔軟かつ実効的な改革を進め、学会としての魅力と価値をさらに高めていく所存です。とりわけ、次世代を担う若手研究者の育成と支援を重点課題と位置づけ、学会全体として取り組んでまいります。
現在、世界経済は地政学的リスクの高まりや技術革新、気候変動、人口動態の変化など、多くの構造的課題に直面しています。こうした中で、経済政策学の果たすべき役割はますます大きくなっております。本学会は、「政策」を中核に据えるがゆえに、対象とする分野は広範であり、方法論も実証・理論・制度分析と多岐にわたります。今後も、新たな研究テーマや分析手法、他分野との協働、最新の政策動向を積極的に取り入れ、会員間での知的交流を一層活性化させていきたいと考えております。学会運営にあたっては、副会長である飯島大邦先生(中央大学)、衣笠智子先生(神戸大学)、宍倉学先生(長崎大学)、土井康裕先生(名古屋大学)、前田章先生(東京大学)と緊密に連携しながら、開かれた運営を心がけてまいります。
本学会が、政策研究に関わるすべての方々にとって、知的に刺激的で、世代や分野を超えた対話が生まれる場であり続けるよう、微力ながら尽力してまいります。引き続き、皆さまのご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。